手術室の感染対策  手術部位感染(SSI)予防 術前の感染対策

この記事は、初めてオペナースになって、手術室で行われている感染対策はなんとなくわかるけど、根拠がいまいちわからない。まだまだ勉強しないといけないという方向けの記事です

手術室に配属される看護師数が多いところでは(総合病院など)、新人オペナースも数人配属されるので、各新人に対して

「何科のなんの手術から経験してもらおう!」

というプログラムはほとんどなく、ケースバイケースで新人指導が進むことが多いと思います

おかりーなが務める病院では、初めて手術看護を経験する科は、複数ある科の中から1つか2つにしぼられ、その科でよく行われる手術を担当しながらオペナースの仕事を覚えます

どんな科のどんな手術であれ、患者さんに行う感染対策のルールは同じです

ひとたび患者さんに感染がおきれば、合併症がおきやすくなり、入院期間がのびる。医療費もかさみ、患者さんにとっても病院にとってもひとつもいいことがありません!

だから感染対策はとにかく大切!

今日は手術室で防げる感染のひとつ、手術部位感染(SSI)の術前のリスク因子に対する予防について、ひとつひとつ知識を確認しながら、一緒に勉強したいと思います

手術室で働くって本当に覚えることがたくさんで大変ね

おかりーな

初めは覚えることが多くって大変ですよね。

正しい知識と技術が患者さんを守る!

目次

1.手術部位感染ってなんだろう?

手術部位感染は「SSI」と略されます

おかりーな

Surgical site infection:SSI

よく略語が使われます

手術操作に関連して、術後30日以内(インプラント挿入後は1年以内)に発生した感染症をいいます

手術操作に関連して起こる感染症なのに、術前、術中、術後、それぞれの時期にリスクがあるので、そのリスクに対して対策する必要があるんです

おかりーな
おかりーな

手術部位感染のリスクについて表で見てみましょう!

表:手術部位感染のリスク因子

2.術前のSSIリスク因子

術前のリスク因子を見ると、患者側と医療者側にリスク因子が分けられています

患者側のリスク因子は、「感染のリスクがある状態なんだ」という医療者の理解と、患者さん自身もそのリスクを知って、自身も感染のリスクを下げる行動をしなければならないのです

肥満にはダイエット指導→実際にダイエットを行う

喫煙には禁煙指導→禁煙する

糖尿病には血糖コントロール→食事療法や運動療法、必要であればインスリン治療などを行う

など、手術が決定した時点で患者さんに説明し、より良い状態で手術が受けられるように、患者さん自身に協力してもらう必要があります!

ここで大切になってくるのが、患者さんが行動を変えることができるように、必要性を説明し、行動してもらうことです。オペナースが術前外来を担当している病院もありますが、まだまだ全国的にもそんな病院は少ない現状です。なので、術前の患者指導や、説明は、主に外来看護師と主治医が担当しています

術前外来から患者さんに関われないという部分ではありますが、外来での経過や、患者さんの頑張りなどはカルテからも情報収集できます

3.オペナースが介入できる術前のリスク因子

実際にオペナースが、術前に支援できる部分は、入院後から手術前の限られ

  • 除毛の方法と時期
  • 予防的抗菌薬の投与
  • 手術時手洗い
  • 皮膚の消毒方法

になります。実際には、オペナース単独ではなく、医師と協働する部分が多く

オペはチームで行う

感染対策もチームで行う

協力しあいながら感染対策しています

(1)除毛の方法と時期

除毛は、手術の邪魔にならないかぎりは行いません

行う場合でも、必要最低限の範囲を医師が判断します

基本的には手術直前に医療用除毛器具(サージカルクリッパー)を使用して行います

おかりーな
おかりーな

皮膚を傷つけないように、カミソリは使用しません!

毛もじゃの場合は消毒がしっかりできないので除毛が必要です

(2)予防的抗菌薬の投与

感染予防のために、手術執刀前に抗菌薬を投与します

まだキズがない患者さんになぜ抗菌薬を投与するの?と疑問に思いますよね

抗菌薬を使用する目的には「予防的投与」と「治療的投与」があります

もう感染がおこっている時に使用するのは「治療的投与」

手術が始まる前に抗菌薬を使用するのは「予防的投与」です

手術する部分を無菌にするのではなく

微生物に汚染されたとしても、感染が起こらないレベルまで

微生物数を減らす目的で投与されます

すべての手術に同じ抗菌薬が使われるわけではなく

「手術創分類」によって抗菌薬が変わります

感染が起こらないレベルで、抗菌薬の血中濃度を保つために

手術開始30分前に抗菌薬を投与します

さらに長時間手術や大量出血、病的肥満(BMIが35以上)の時は

適宜抗菌薬を追加で投与します

例えば予防投与でよく使われる「セファゾリン」

感染が起こらないレベルの血中濃度が続くのは3-4時間

長時間手術のときは、3-4時間間隔で追加投与していきます

おかりーな
おかりーな

なぜ抗菌薬を投与するのかがわかれば、投与し忘れるなんてミスも

防ぐことができますよね!

4.手術創分類

手術の部位や内容によって清浄度が変わるという考え方で

クラスⅠ:清潔手術

クラスⅡ:準汚染手術

クラスⅢ:汚染手術

クラスⅣ:不潔・感染手術

に分類されます

表:手術創分類

予防的抗菌薬の投与は

基本的には手術創分類がクラスⅠ:清潔、クラスⅡ:準清潔が対象です

(クラスⅢ・Ⅳは術前から抗菌薬の治療的投与を行っています)

5.手術時手洗い

手術時手洗いは、医療者の手についている常在菌を、感染が起こらないレベルまで少なくすることを目的として行います

手術操作で滅菌手袋に穴があいていて、その目に見えないような小さな穴でも、最近は通過することができます。そして、手袋の穴は未使用でもあいている可能性があり、手術操作にあくこともあるのです

だからこそ、患者さんに感染が起こらないように、しっかり手術時手洗いを行います

手術時手洗いには

・アルコールラビング法

・スクラビング法

があります。現在はアルコールラビング法が主流です

アルコールラビング法

アルコールラビング法の手洗い方法は

① 両肘上まで流水で十分ぬらす

② 手洗い石鹸液を手のひらにとる(2プッシュ以上)

③ 手掌→手背→手首→肘関節上5cmまで泡でもみ洗い(60秒以上)

④ 流水で洗い流す

⑤ 未滅菌のペーパータオルでパッティングしながら水分を拭き取る

⑥ アルコールを決められた量(2プッシュ以上)手に取る

⑦ 左右の指先・爪を5秒ずつアルコールに浸す

⑧ 手掌をあわせてすりこむ

⑨ 手の甲にすりこむ

⑩ 指の間にすりこむ

⑪ 親指をねじるようにすりこむ

⑫ 手首から肘まですりこむ

(⑦か⑫まで60秒以上)

⑬さらに⑥から⑫まで2回目のアルコール消毒2回目を行う

⑭完全に手指が乾いてからガウン、手袋を着用する

です

アルコールを十分(60秒以上)すりこむことで

皮膚の細菌数は手洗い前の3万分の1まで減らすことができます

決められた手順、アルコール量、時間ですりこむことがポイントです!

手術時手洗いの過去記事はこちら↓

感染からみんなを守る!手術室の感染対策:スタンダードプリコーションと手術時手洗い

6.皮膚の消毒方法

患者さんの手術部位を消毒して手術を始めます

感染予防のためには

適正な消毒薬で、正しく消毒する必要があります

消毒方法は

手術切開部位を中心に

中心から外側に円をかくように

前の消毒範囲より狭い範囲で2~3回繰り返します

表:手術部位に使用する消毒薬一覧

消毒する部分が垢や血液で汚れていたら、きれいに汚れを落とします。汚れたままだと、消毒薬が浸透しないので、殺菌効果が発揮されません

ヨード過敏症でも造影剤のヨードなら、消毒薬は問題なく使用できる場合が多いです。しかし、アレルギー情報がある場合は、あらかじめ医師に消毒薬を確認します

手術創の消毒によく使うのはポピヨドンヨード

ポピヨドンヨードを消毒後にしっかり乾かさず、ガーゼで拭きとってドレープをかけるのをみかけますが

しっかり乾く過程(3分程度)で効果を発揮するので拭き取らないように注意が必要です

おかりーな
おかりーな

消毒をガーゼで拭かない!

拭くのは医者でも、正しい知識を言い続けることも大切です!!

7.まとめ

この記事をまとめると

  1. 術前から手術部位感染予防は始まっていて、患者さんの協力と行動が不可欠
  2. 手術も感染予防もチームで行っている
  3. 抗菌薬の予防投与は、投与するタイミングを守る
  4. 手術創分類で、投与される抗菌薬が変わる
  5. 正しく手術時手洗いを行って、手の常在菌を減らす
  6. 適正な消毒薬で正しく消毒する

術前だけでも、このようにたくさんのリスク因子に対して、感染予防を行い、患者さんを守る感染予防対策を行い、日々安全に手術を行っています

はじめてオペ室で勤務するオペナースは、本当に覚えることがたくさんあって大変だけど、どれにも根拠があることを覚えていくと、うっかり忘れを防ぐことができるので

大変だけど一緒に頑張ろう!!

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