プリセプティがインシデントを起こしたの。師長さんから新人さんといっしょに振り返りしてって言われたけど、どうすればいいんだろう…
今日はこんな疑問に答えていきます。
プリセプターがプリセプティのインシデントの振り返えりを一緒にするときは、今日説明する方法で対処すればOKです。
(この記事では医療事故をインシデントと表記します。)
新人看護師はインシデントを起こす不安を抱えながら働いている
- 20~30代の看護師の職場での悩みや不安の第一位はインシデントを起こすこと
- 新卒看護師を含む20-24歳の81.1%はインシデントを起こすが不安
実はどの世代でもインシデントを起こすことに不安を感じながら働いています。
その中でも、特に若い世代は高い割合でインシデントを起こすことに不安を感じています。
新人看護師のインシデントが増えるのは
- 5月~8月 受け持ち人数が増え、業務が拡大する
- 10月~ 夜勤がはじまる
慣れない業務を行う時期です。
インシデントを起こすことを不安に感じている新人看護師がインシデントを起こしたら、ショックで仕事をやめたいと思うかもしれないし、責任の重さに自分を責め続けるかもしれない。
だからこそ、インシデントを起こした新人看護師のサポートはプリセプターにとって大切な役割の1つになります。
新人看護師のインシデントの振り返りはなんのために行うのか
新人看護師でなくても、インシデントを起こしたら、事例を振り返り、レポートを書きます。
インシデントの内容によっては、経験年数が20年をこえた私でも、
罰ゲーム?なんのためにこれ(レポート)書くの?
と思う時があります。
でも、振り返りもレポートも罰ゲームではありません。
同じミスを2度としないために、原因と対策を明らかにするためのものです。
新人看護師がインシデントを起こす主な原因
原因によって対策が変わります。
ここでは、新人看護師がインシデントを起こす原因で多いものを紹介します。
新人看護師がインシデントを起こす主な原因 知識・技術の不足
新人看護師が行う業務はどんどん増えていきますが、それぞれの知識と技術が十分でない場合、事故につながることがあります。
この場合のインシデントを起こさないための対策は以下です。
- できないこと、わからないことは必ず確認する。
- できないこと、わからないことをそのまま行わない。
新人看護師がインシデントを起こす主な原因 ルール違反
病院での仕事には事故を起こさないためのルールがあります。
そのルールを守らないことで事故が起きるのです。
この場合のインシデントを起こさないための対策は以下です。
- ルールを知る・理解する(基準・手順・マニュアルなど)
- ルールを守る
新人看護師がインシデントを起こす主な原因 思い込みによる実施
正しい技術や方法を理解していないのに、「たぶんこうだったと思う」や「この方法が正しい」と思い込んでインシデントを起こすことがあります。
この場合は知識や技術の不足や、思い込む思考のクセが考えられます。
思い込みをせず、確実に実施するための対策は以下です。
- できないこと、わからないことは必ず確認する。
- できないことわからないことは行わない。
- 不慣れなことは確認しながら行う。
新人看護師がインシデントを起こす主な原因 危険の認識不足
看護師は、患者さんの転倒や褥瘡の危険、薬の作用や副作用、治療の合併症などをしっかり理解し、対応する力が必要です。
ただ経験不足で、知識と患者さんの状態が結び付かず、正しく危険を認識できず事故が起きることがあります。
この場合のインシデントを起こさないための対策は
- 患者さんの状態をアセスメントする力をつける(知識の整理)
- この患者さんにどんなリスクがあるのか、整理して考える
新人看護師がインシデントを起こす主な原因 報告や相談できない・しない
自分ができないことや、不安なことを自覚しながら、先輩や指導者に報告・相談ができないことにより事故が起こることがあります。
先輩が怖い、忙しそう、聞きにくいなど、新人看護師が報告や相談ができない理由はいろいろ考えられます。
ただコミュニケーションが原因でインシデントが起こったとき、被害にあうのは患者さんです。
この場合の対策は、
- プリセプターがコミュニケーションをとれるように調整する
- 報告・相談しないことで被害を受けるのは患者さんであることをしっかり伝える
- プリセプターが対応できない職場環境の問題は上司に相談する
新人看護師のインシデント 振り返り時のプリセプターの対応方法
プリセプターが実際どのように振り返りをサポートするのかを紹介します。
インシデントの内容や原因、どのように考えているのかを聞く
まず話しが聞ける静かな環境で振り返りを行います。(決してみんなのいる前では聞かない)
そこで、インシデントを起こした内容や経緯、原因と思っていることを自分の言葉で話してもらいます。
事例によっては、自責や他責が強すぎたり、なぜインシデントを起こしたのかわからないと言われたり、思うように振り返りができないこともあります。
インシデントに対して自責が強すぎる
インシデントを起こしたことに責任を感じるのは当然のことです。
患者さんに不利益がないようにする責任を果たせていないからです。
インシデントはその事実を早い時期に振り返る必要がありますが、感情的(泣き止まないなど)になっているときに振り返りはできません。
落ち着いてから振り返りを行います。
「何が原因」でインシデントが起こったのか、2度起こさないためにどう対策していくのか、時間をかけて話し合う必要があります。
この場合は、新人看護師が決めた対策を「これから見守ってるからね」といつでも見守り、サポートすることを伝えます。
インシデントに対して他責が強すぎる
インシデントを起こしたことを、自分以外が原因と考え「人のせい」にしてしまうタイプには、チームの一員として、インシデントを起こさないためにできることは何か考えてもらう必要があります。
インシデントの内容によっては、自分が原因でないこともあるかもしれません。
その事実と、対策を分けて考えることができるようにサポートする必要があります。
システムの改善や、チームや看護師としてのコミュニケーション方法についても一緒に考えられるといいと思います。
なぜインシデントを起こしたのかわからない
自分の行動を振り返ることが苦手なタイプの人と振り返りをすると
「ちゃんと確認しました。」と自分がインシデントを起こした理由がわかっていない人がいます。
この場合は「ちゃんとやっていた」はずのことが、実は正確にできていなからインシデントが起こっています。
自分の考え方や行動のクセを自分で分析できない人は、同じミスを繰り返す傾向があります。
なので事実を振り返るサポートとあわせて、同じミスを繰り返さないための対策もしっかり考え実行してもらう必要があります。
新人看護師のインシデントをサポートする方法 まとめ
知識と経験が少ない新人看護師は、インシデントを起こすことに不安を感じながら働いています。
業務が増えていく中で、インシデントは必ず起こります。
その時にプリセプターがうまくサポートできれば、プリセプティはインシデントで得た経験と知識で今以上に成長できます。
責めたり、問い詰めることなく、新人看護師をサポートする視点で関わってほしいです。
この記事がプリセプターの参考になると嬉しいです。
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