
手術室にある独特なルール…。
なんで手術室に入るのに着替えが必要なの?
みんな帽子とマスクをしてるけどどうして?
手術室の清潔な環境、清浄度を守るために、手術室には様々なルールがあります。
手術室で働き始めた当初はルールの細かさに驚きますが、手術室にたくさんあるルール1つ1つに「行う理由」があるんです。
なぜ行われているのか理解することが、手術室の独特な考え方や働き方に慣れる近道です。
病院では清潔・不潔という言葉をよく使いますが、手術室の環境に慣れるために、特に「清潔」に関する専門的な知識が必要です。
この記事では、病院内の清浄度と感染予防策をあわせて、手術室の中に入るときに必要な更衣とマスク着用、帽子の着用が必要な理由や根拠について説明します。
手術室で一番不潔なものは?


手術室で一番不潔なもの、それは「人」です。
病棟でも患者さんの間に感染を広げるのは「人の手」と言われていて、感染を防ぐためにスタンダードプリコーション(標準接触予防策)を実施しています。
手術室では患者さんの無菌部分を手術します。なので手術には滅菌された器械や医療材料が使用されていますよね。
でも、滅菌器材や医療材料を使用するのは人。
人は滅菌できません。常に人の皮膚や体液には常在菌がいます。
人間の皮膚の表面に生息する常在菌の数は1c㎡あたり数10万個~数100万個です。
また汗以外の湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物)には何らかの病原体がいる可能性があります。
それが患者さんの無菌部分につくと感染の原因になります。
だから手術室に入る人は最大限、感染防止のために対策する必要があります。
手術室に入るためになぜ更衣が必要なのか?
手術室に入るとき、スタッフは必ず清潔なユニフォームに、患者さんは清潔な病衣に着替えます。
病院の中は大きく清潔区域と汚染管理区域に分かれています。
外来待合室や診察室、トイレ、細菌検査室などは汚染管理区域、一般の病室や手術室は清潔区域になります。
その清潔区域の中でも手術室の清浄度は一般病室よりも高いのです。
外から来る人が手術室に入るときは、清浄度が低いところから高いところに入ることになります。
手術室外から来た人がそれまで着ていた衣服は、手術室で言う「不潔」ということになります。
そういう理由で、手術室に入るときに必ず清潔なユニフォームや病衣に更衣が必要なんです。
手術室から一般病室に出たのにそのままのユニフォームでまた手術室に入ってくる人を見かけます。(特に医者!!)
清浄度を理解するとそれが不潔なことがわかります。
手術室の外に出たら必ず着替えてから手術室に入ってきてくださいね。
手術室に入るためになぜ帽子とマスクが必要なの?


手術室のなかで一番不潔なものは「人」。
人間の皮膚と同じように頭皮にも常在菌が生息しているうえに、髪の毛があるため正常な皮膚部分より頭皮の方が常在菌が多いんです。
頭部からの常在菌の落下を防ぐために、手術室の中に入るときは帽子をかぶります。
帽子といっても不織布で作られたシャワーキャップのようなものです。
手術室に入る人は、患者さんも含め誰でも必ず防止を着用して感染対策を行います。
マスクは会話や咳・くしゃみなどで唾液などが飛散することを防ぐためにつけます。
汗以外の湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物)には何らかの病原体がいる可能性があるという考え方に基づいた感染予防策です。
まとめ
手術室に入るときに必ず更衣が必要な理由は
手術室は手術室の外よりも清潔度が高いので、外で着ていた服は「不潔」だから
手術室に入るときに帽子着用する理由は
頭皮にいる常在菌は正常の皮膚よりも多く、その落下を防ぐため
手術室に入るときにマスクを着用する理由は
会話・咳・くしゃみによる湿性生体物質の飛散を防ぐため(汗以外の湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物)には何らかの病原体がいる可能性があるという考え方に基づいた感染防止対策)
手術室の独特なルールも、慣れてくると理由を知らなくてもなんなくできます。
それでも、きちんとルールを行う理由がわかれば、ルール自体を忘れることが防げます。
ひとつひとつ理由(根拠)を覚えながら手術室の環境に慣れていってほしいです。